長い黒髪、懐かしいシャンプーの匂い

背丈もナツとほとんど変わらない


ナツ───?


たまたま髪の毛が長いだけかもしれない

たまたま同じような匂いのシャンプーを使ってるのかもしれない

たまたま同じような背丈なのかもしれない

それに、相手が振り返った時に何て言えばいいのかなんて、何一つ考えていない


それでも───


「あ…あのっ!」


気が付いたら声を掛けていた

一縷(いちる)の望みを掛けて



-Fin-