猫の恩返し

猫缶を皿に開けると、俺の横から顔を覗かせ首を出す


「ちょっ…待てって」


「食べるッ!」


そのまま皿に顔を近付け、ガツガツと食べ始めた

呆気に取られる俺

おおよそ、人間とはかけ離れた行動


………完全に猫だよな


起きてすぐの疑問が、確信に変わっていく

これからどうすればいいんだろうか

いくら姿形が人間といっても、中身は完全な猫


「ナツ」


「ん?」


ペロッと食べ終え、俺の方に顔を向ける

食べたところを見ると、中身があちこちに散らばり大惨事


「箸の使い方教えてやるから、箸使って食べる練習しろ」


「はし?」


「そ。箸」


「よく分からないけど、分かった」


今日一日では出来ないだろうと思い、思わず溜息が出る


何で、コイツを拾ってしまったんだろう


今更ながら、何も考えず拾ってしまったことを後悔した