猫の恩返し

庭に出てみると、雪が音もなく降り続いている


「冷たぁ───い!」


雪に手を突っ込み、歓声を上げるナツ


「ま、そりゃそーだろな」


「不思議ー、何で雪が降るんだろ」


「気温が0度以下だからだよ。もっと温かけりゃ、雪じゃなくて雨になる」


「ふぇっ!そうなの?!初めて知った!」


雪から抜いたナツの手は、冷えて真っ赤になっていた


「痛ぁーい」


「凍傷になるぞ」


ナツの手を握り締める

ひんやりどころか氷のように冷たくて、ブルッと体を震わせた

頭にも肩にも、雪が落ちては溶けていき、俺達の熱を容赦なく奪っていく


「このままの格好じゃ風邪引くから、部屋に戻ろう」


手を引くと、意外なほどあっさりとついて来た