猫の恩返し

「見て見てー。待受画面に設定しちゃった」


今撮ったばかりの写真を設定し、得意げに画面を見せてくる


「ちょっ、俺めちゃくちゃ間抜けな顔じゃねーか」


写真を消そうと、ナツのスマホに手を伸ばした


「触らないでよ」


「貸せって」


「やぁだよぉー」


スマホを握り締め、ベーッと舌を出す


「箸でその舌引っこ抜くぞ」


「そんなんじゃ抜けないもんねー」


楽しそうに食事の続きをするナツに隠れて、さっきナツが撮ったまま放置してある写真の画像を、ひっそりと待受画面にした



△▼△▼△▼



「ねーねー、トーゴ。外行こー」


飯を食い終わってのんびりテレビを見ていると、ナツが中腰で俺の腕を引っ張り上げる


「雪降ってんだろ。せっかく風呂入って温(あった)まったのに、何で体冷えることしなきゃなんねーんだよ」


「トーゴ、おじさんみたい。ここまで来てテレビ見てゴロゴロしてないでさ、せっかくだから外行こうよー」


もっともなことを言われてしまった