猫の恩返し

「隠し撮り?」


「隠してねーし」


「うーん…、何て言うんだっけ…。無許可撮影?」


「えらく高度な言葉を考えたな」


箸を銜(くわ)え斜め上を仰ぎ見る姿は、見ていて本当に刺激が強過ぎる

いつも下ろしている髪の毛をまとめ上げているからうなじは見えてるし、浴衣姿だし、頬っぺたはほんのりピンクだし


………

あ゛─────っ!

消えろ!俺の雑念ッ!!!


そうやって一生懸命、煩悩と格闘しているのに


「ねー、せっかくだから一緒に撮ろうよ」


座ってる俺の膝の上にいきなり座り、肩に頭を乗せピースサインをしながらインカメラで自撮りをするナツ


「撮ーれた」


「え…。え?」


「自分のに転送しーとこっ」


一瞬のことで何か分からなかったが、ナツは満足そうに撮った写真を自分のスマホに転送していた