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「は?」


「だから、何回も言わすんじゃないよ」


溝口から教えてもらった病院は、古いビルの一室だった

少し太めの体の、いかにも胡散臭い女

50代に見えるが年齢不詳


「もう、手の施しようがないって」


手の施しようがない───


「それって…死ぬのを待てってことですか…?」


「まあ…そうとも言うね」


バッサリと言い捨てる

麻酔が効いたのか、静かに眠るナツの顔をジッと見た


「ったく、もー。もっと早くに連れてこりゃ、まだ助かっただろうに…。こんな若くて死ぬなんて、可哀相にね」


嘘…だろ…


「人には寄生しないはずの寄生虫が腸に住み着いてるなんて、聞いたことも見たこともないよ。ま…それが命取りになったわけだけどさ」


女の声が、頭の中で反響する