猫の恩返し

「名前、ちゃんと教えて!」


「わっ、分かったから…。近い」


顔を掌で包み込んで押し返すと、両手で腕を掴まれ手の側面を噛み始めた


「ちょっ…何してんだよ」


慌てて手を振り払うと、また首を傾げるナツ


「遊んでた」


「………そうか」


心臓に悪過ぎる…


「名前ッ!」


ピョンピョンと、その場で飛び跳ねた


「小岩井桐吾」


「こい…わい…と………」


またもや言葉に詰まる


「………桐吾でいいよ」


「トーゴ!」


パッと顔を輝かせ、また飛び跳ねながら部屋中を走り始めた