猫の恩返し

「お前、今日から『ナツ』な」


色や猫に付けられてるような名前で散々悩んだ挙句、どれもしっくりこないので、今のこの季節をそのまま名前にした


「ナツ?」


「そ、ナツ」


「私の名前、ナツ!嬉しい!名前出来た!」


飛び跳ねて喜ぶナツに、なぜか照れ臭くなる


「あ、そういえば…」


クルッと俺の方を振り返った


「名前、聞いてない」


「俺か?俺は、小岩井桐吾(こいわいとうご)だよ」


「こい…わ………?」


途中で詰まってしまったみたいで、眉間に皺を寄せ黙り込んでしまう

その表情が、また何とも言えないぐらい可愛かった


コイツ、猫…なんだよな

こんなに可愛い猫とか、反則だろ…

人間にしたって、かなりの美少女だぞ


ジッと顔を見ていると、いきなり俺の傍まで走ってきて顔をニュッと覗き込む