猫の恩返し

「用事はそれだけですよね?僕、来たばかりでまだ何もしてないので…。失礼します」


お辞儀をし、そのまま彼女の顔を見ないまま踵を返した


「ま、待って!」


切羽詰まった声を上げる雅美


「まだ…何か?」


振り返り、彼女を見る


「………」


「山下署長に構っている暇はないのですが…」


「………桐吾は…気付いてないだけなのよ…。私と居る時、あんなに喜怒哀楽は激しくなかった。『そんなことない』って言うかもしれない…。だけど…毎日桐吾と一緒に居てた私が…そう、感じたんだもの…」


『主任、変わりましたね』


『今までの主任って、何か近寄りがたい雰囲気があったんですけど、ナツちゃんが職場に来てから何となく変わりましたよ。あと、私達には無関心だったし…』


海での下村の言葉を思い出した