猫の恩返し

仕方なく黙って頷き、署長室へ向かった


───俺が何したんだよ…


腰に手を当てて目の前にあるドアを見上げ、溜息を吐く


…入りたくねーな………


もう一度大きな溜息を吐いたところで、仕方なくドアをノックした


「はい」


中から、か細い声が返ってくる


「失礼致します」


重厚な音がして、内側にドアが開いた

中に足を踏み入れるまで、署長の姿は見えない

ギィィという音と共に、体を中に滑り込ませる

ドアの方を向いて静かに閉め、室内へ向き直った


「会計課、主任の小岩井と申します。失礼致します」


書類に目を通していたらしく、俯いていて表情が見えない


「───嘘…だろ………」


さっき課長から話を聞いた時も冗談だと思ったが、スッと顔を上げた署長を見て悪い夢でも見ているのかと疑いたくなった