猫の恩返し

「いやいやいや…。冗談でしょう?」


自分の顔が引きつっているのが分かった


「冗談じゃないよ。そんなことで目ぇ付けられたくないしね」


それこそ冗談じゃねーよ


『人事異動で新しく来た署長が、署長室に来るようにって…』


俺が何したってんだ…


いきなり署長に目を付けられるようなへまは、した覚えがない

しかも、こっちはまだ署長がどんな人物かも知らないんだ


「あらら、小岩井くん呼び出し?いーねぇー。美人署長さんに呼び出されるなんてー。もしや、署長室であんなことやこんなこと………むふふふ」


背後から係長が嬉しそうに声を掛けてくる


「係長、うっとおしいです」


美人………署長…?


係長と牧野のやり取りも、まったく頭に入ってこなかった

課長を見ると『早く行け』とでも言うように、手でシッシッと追い払われる