猫の恩返し

「何…やってるんですか…」


「何って…海に遊びに来たんだけど?」


当たり前のことを聞いてるからか、係長が首を傾げた


「いや……そうじゃなくて…」


そんなの、見たら分かるし


「両手に華。羨まし───」


「「違います!」」


ふふんとドヤ顔で言う係長の言葉をかき消すように、大きな声で否定する二人


ホント…全然噛み合ってねーな…


ここまでくると呆れるのを通り越して、もはや尊敬するレベル


「んで?何でこのメンツなわけ?」


係長に聞いても話が進まないので、牧野に問い掛けた


「そーなんですよ!聞いて下さい、主任!」


俺が問い掛けたのは牧野なのに、口を挟んできたのは下村


会計課には、牧野以外にマトモなヤツは居ないのか…


「実は係長から誘われたんですよ、牧野さん」


コソッと耳打ちしてくる


「で、私も行くなら…って条件でOKしたらしいんです」


牧野と係長に視線をやると、ナツが牧野を引っ張り、また凝りもせず海の中へと足を突っ込んでいた