「あ、茜ーーーー!」

遠くで手を振る結衣加ちゃんを見つける。

小走りで、そこに行くけどまだ結衣加ちゃ

んの姿しかなかった。

「おはよー、結衣加ちゃん。」

「うん!おはよう!」

「皆は??」

時間を見るけど、誰かいても良いような

時間。

「なんか、遅くなるってー。」

「へー、じゃあ待ってよ。」

「うん。」

結構時間がたっても、皆の姿は

見当たらない。ヒールで足も痛くなったの

で、ベンチに二人で座って待つことにた。

「ねぇさー、奈緒って好きな人いるらしいね。誰だと思う?」

ズキッ

「うーん、誰かなー?」

少しだけ、私たちの間に風がふく。

夏の匂いがやっぱりした。

それと、なんだか懐かしい匂い。

「私ね、須田君だと思うの!一年の時めっちゃ仲良かったじゃん!もう、当たってると思うの!」

「でも、それって一年の時でしょ?」

「まぁねー。あ!奈緒じゃない?あれ!」

遠くに奈緒と思われる姿がある。

「あ、奈緒だ。」

ズキッ

そーだよね。そーなるよね。

京介と奈緒。

私の好きな人の好きな人。

奈緒と京介。

二人は、一年の時に同じクラスだった。

私は、一番遠いクラスで奈緒と仲良くなっ

て行く京介をただただ眺めてた。

どーすればいいの?

あの時と同じように、眺めてるの?

どーするの?

胸が痛い。
『悩んだ分、その人が好きってこと。泣いた分、幸せになれるってこと。』

太陽がきのうボソリと呟いた言葉。

そーだよね。どんなに悩んでも、

答えはもう出てるはず。

『一番、お前がお前を知ってるからな。』