「それでさー、悠仁がさー‥‥‥‥‥‥‥」

さっきから、太陽は私に気を配っているの

か、ずっと話している。

友達が靴左右間違って履いてきたとか、

バケツひっくり返したとか。

しかも、それは全部悠仁ていう天然くんが

やったらしい。どんだけ、天然なんだか。

少し、その人が心配かも‥。

「それでさ‥‥。」

「‥‥‥??どーした?太陽??」

急に口を閉じて、真面目な顔になる太陽。

「やっぱさ、何かあったろ?」

ズキッ

「なんもないけど?」

なるべく太陽を見ないように言う。

でも、嘘が下手だから。

こういう時、すぐにばれるんだよね、私。

「‥‥俺じゃぁ、ダメか?」

「え?」

私の視界に太陽が入り込む。

膝をついて、こっちを見上げてくる。

「俺じゃぁ、ダメか?」

ドックン

さっきと同じ言葉。

でも、さっきより力強い。

胸が痛い。胸に刺さった、何かが痛い。

あの時に似た胸の痛み。

「‥‥‥どういうこと?」

やっと出た言葉。

喉の奥が熱くて、苦しい。

「俺は、お前の力になりたい。」

ドックン
誰かが私の心のドアを叩いている。

開けちゃダメ、開けちゃダメ。

分かってるから。分かってるから。

だから、開けちゃダメ。

胸の奥が痛い。苦しい。熱い。

太陽のまっすぐな綺麗な目。

もう、回りは真っ暗で。

でも、太陽の目だけが光っているように

見えた。

また、胸が騒いだ。