「茜??」

誰かが私を呼んでいる。

影が一瞬見える。

「太陽??」

また、そんな感じがした。顔を上げたら、

やっぱり太陽の笑顔があった。

「おぉ、久しぶりだな。」

「うん、久しぶり。」

少しだけ、間があいてから。

太陽が空を見上げて、口を開く。

「夏になったな。」

「何それー?知ってるよーそんなこと。」

ハハっと太陽が笑う。

その笑い声、久しぶりに聞いたかも。

「‥あのさー、前も思ったんだけどよー。
やっぱ、なんかあっただろ。お前。」

‥‥‥‥え?

「‥‥何言ってんの?」

「‥いや、なんもねぇーなら、いいけど。」

困ったように、目線が泳いでる。

何がいいたいの?よく分からない。

太陽が言いたいことは、何?

「まぁ、帰るわ。」

一瞬、太陽と目があう。

寂しそうな目。そんな気がした。

でも、綺麗でまっすぐな目だった。

その目が私の視線から消える。

太陽がいたはずのそこは、

少しくらい色の空が広がっているだけ。

振り返って、私に背中を見せる太陽。

‥‥いや、嫌。行かないで。

なんか、ものすごく嫌。

こんな風に誰かの背中を

ただ見てる自分は嫌。

また、小さくなっていく背中。