はぁー。疲れた。

7時限目が終わって、掃除に向かう。

私の掃除場所は美術室前の廊下。

ここは、好き。

美術室が京介の掃除場所ていうのもある。

でも、それだけじゃなくて

もとから芸術には興味があったから。

この掃除場所は美術鑑賞が

少しだけできる。美術室に入りきれない

作品が廊下に置いてある。

色とりどりの絵が夕日に照らされてる。

赤に、青、紫、黒‥‥。

その一つ一つが綺麗でみいってしまう。

だから、ここの掃除は気に入っている。

「おーい!京介!ちゃんと掃除しろよ。」

美術室の中から、京介の友達の声が

する。その人の声は、透き通るような

声だから聞きやすい。

「はぁ!?お前もちゃんとやれよ!」

京介の声。私のすきな声。

少しだけ、耳を美術室の方に向ける。

京介の声とその友達の声が微かにする。

他の人たちも楽しそうに笑ってる。

男女の関係なしに皆と仲がいい京介。

笑顔が可愛い京介。

やる時はやる。でも、相手のペースに

あわせる。皆が笑顔で楽しく

過ごせるようにする。

それが京介。私が好きな人。

好きだよ。そう思うだけで、

幸せなのかもしれない。

だから、いいんだよ。

京介が私を好きにならなくても。

「茜!!」

ワッと、後ろから肩を叩かれ反射的に

小さな悲鳴と一緒に体が反応する。

「どーしたの?さっきから呼んでもボーっ としてたよ?」

あ、ヤバい。京介の事ずっと考えてて、

気づかなかった。

「ごめん、考え事してた~!」

不思議そうに見つめてくる奈緒に

笑顔で答える。

「そっか、ならよかった!」

可愛い笑顔でそう言ってくれる。

やっぱ、奈緒は優しいね。

一瞬、京介の方を見る。

………あ。

ドクン

私と、京介の視線が絡んだ気がした。