武道場

「よし!10分休憩」

過酷な筋トレの後の顧問の先生の言葉で、俺と中田は外に出た。


「あち~」

とベンチに腰をかけ、スポーツドリンクを飲む。


「やっぱ外の方が涼しいな」

と中田が言う。


中田とは小学生の頃からの付き合いで、友達の中でも一番気をゆるせる相手だ。

少し軽いやつだけど、面白いし、友達思いだし良いやつだ。

「おっ、なーなー、あのテニス部の女子可愛くね?」

急に中田は体を前のめりにして、テニス部の女子達の群れを眺めた。

まぁ、この極度の女好きを除けば…。

「あー」

乗り気じゃない俺は適当に相槌をうつ。


それを聞くと中田は大きなため息をついた。


「南にしか興味ねーか、」


ゴホッ、ゲホッ


核心を突いた中田の言葉に飲物を詰まらせた。


そう、俺は南が好きだ。

それも幼稚園来の片思い。

中田に顔が赤いと指摘され、とっさに俯く。

「やれやれ、学園の王子が聞いて呆れるね。」

「変な呼び方すんなよ」

「はよ言やいーのに」

「うっせー」

そんなこと、俺だって一番分かってんだよ。