見ると、
笑っている裕也たちの輪に1人の女の子が入ってきた

長いさらさらした髪に
細い手足

今どきの女子高生って感じの美人な子


誰‥‥‥?

裕也とも楽しそうに話している。

珍しい。女子とそんなに絡まない裕也が。

「あれ、中西さんだよ」

一人が言う

「中西さん!?」

皆がどっと群がって聞く。

「中西香織(ナカニシカオリ)、4組の」

4組だと、裕也と同じクラス。

「明るくて、すごく良い子だよ」

あたしは不安な顔つきで、裕也達を眺めた。

なんだろう


嫌な予感がする。

「市原くん、中西さんが好きなのかな?」

心を読んだように彩が言う。


皆はえ~と叫ぶ。


「でも悔しいけどお似合よね~」

「うん。中西ちゃんキレイだもんね」

仕方ないと頷き合う。


複雑な気持ちで


あたしは俯いた。




『俺、他にちゃんと好きなやついるし』


あの時の言葉が喉元をつっかえて

胸を苦しくする。