春、君が生まれた日。



君は、動かない…



祝ってあげたいのに。



うっすらと開くその瞳は、まっすぐ自分のことを見ていた。



おめでとう。そう、声をかけた。



だが、涙が出てくる。



笑ってお祝いしてあげたいのに。



君は、涙をぬぐってくれた。



そして、君との思い出はもう作れなくなった。



君は静かに眠りについてしまった。



今までありがとう。



そう、伝えた。



楽しかった君との毎日は…



終わった。



なぜだか、悔いはない。



これで、よかったのだと思える。



桜咲く、春。



君は、新しい命を置いていってくれた。