なんやかんやで、あの電話があってから明純に電話をかけられていなかった。



仕事が忙しくてそれどころじゃなかったのもあるけれど。



何より、僕が彼女に電話をかけるのが怖かったんだ。



もういなくなったものだと割り切って。



それでも割り切れない時は、何度も何度も自分に言い聞かせて。




それでいいんだって。それがいいんだって。




そう思い続けて、それにやっと慣れ始めてきた頃だというのに。





「っ…!!」




突然現れた彼女は、何故そこまで僕をかき乱す?




知りたい。でも。でもでも。怖い。



もっと、落胆するような答が返ってきたら?




『あなたの所為です。』と、彼女に似たその声、表情でそう言われたら。




死ねる。うん、軽く死ねるな。



これ以上考えるなと、警告する頭を軽く叩いて、僕は仕事に向き直った。