「えっ、いや、いいけど……。
いちご嫌いじゃないっけ?」




思わずそう聞くと、




「え〜? 嫌いじゃないよ!」




ふふ、と笑いながら答える花純。





ーー嘘だ。






花純はきっと、気を遣っているのだろう。





「嘘だ〜」





「いや、本当だって! 食べよ食べよ」





そうやって僕の手から、微笑みながらいちごを取って、準備を始める花純。







ここまで言われると、もしかしたら本当なのかな、と思えてくる。






「うん、ありがと」






花純にそう言って、準備を任せる。






ささっと準備が終わって、テーブルに向かい合って座る。





「じゃ、いただきまーす」





花純は、幸せそうな顔をしながら、手を合わせた。





僕も合わせて、「いただきまーす」と言う。





いちごを食べている花純を、ちらっと見る。





ーーやっぱり、嘘だったんだ。






無理に作り笑いをして、「おいしいー」と言っている。





きっと酸っぱいのにあたったんだろう、少し涙を浮かべながら。






僕のために我慢する花純が、可愛くて可愛くて、でも、悲しくて。





ーーなんで、気をつかうんだろう。





花純は、嘘が上手だ。





だから、もしかしたらって、騙されてしまう。




まあ、最後には嘘ってわかるんだけど。