「バ、バートさん、そんな……」
「バートさん、じゃないだろ? あなた、だろうが」
 その言葉を聞いた途端、たちまち真っ赤になるシモーヌ。
「は、はい……。あ、あなた……」
 そう彼女が言った途端だった。グイと手を引かれたと思うと、ベッドの上に押し倒されていたのは。
「どこかで見たような光景だな?」
「意地悪ですね、バートさんは」
 赤い顔でシモーヌはそう抗議するも、バートは余裕の微笑みを浮かべるだけだった。
「可愛いことを言って、ソノ気にさせる方が悪いんだよ」
「わ、私は別に……」
 シモーヌはそう言うと、赤い顔のまま、むこうを向いた。
「そういう反応」
 そう言うと、シモーヌの上のバートはちょっと彼女の額をこづいた。
「で、でも、こういうことは慣れてないというか……」
「でも、もう初めてじゃないよな?」
 バートがそう言ってニヤリとすると、シモーヌは赤い顔で抗議した。
「そうですけど! ……もう、やっぱり、バートさんは意地悪です!」
「だから、バートさんじゃなくて、あなた、だろう?」
 そう言いながら、バートが彼女の首筋にキスをすると、彼女は真っ赤な顔のまま口をつぐんだ。

「……後にした方がよさそうね」
 お茶を持って来たらしい女将は、中から聞こえてくる音と声をドアに耳を近付けて聞くとそう呟き、ドアの下にそっと置いた。
「やっぱり、新婚さんはお盛んだわ」
 そしてそんなことを言い、少しいやらしい笑みを浮かべると、その場を後にしたのだった。