「本当に仲がいいみたいですね」
 あまりにも同じタイミングにほぼ同じことを言う二人に、シモーヌが苦笑すると、男二人も顔を見合わせて苦笑した。
「だって、今から出るとなると、いくら何でも危ないだろう」
 バートが先にそう言うと、ヨウジイも大きく頷いた。
「そうですよ、お嬢様! もう辺りも暗いですし、何時どこで、小競り合いが起こるとも限りません。その上、女一人だと分かれば、襲ってくる輩もいるでしょう」
「じゃあ、朝発つわ」
 シモーヌのその答えに、ホッとし、頷きながらも、ヨウジイの顔からは心配そうな表情が消えることはなかった。
「そうなさって下さい。出来れば、お屋敷にも一度戻って頂いてからの方がいいのですが……」
「戻ったら一度、顔を出します。それでいいでしょ?」
「はぁ……」
 そう返事をして、溜息をつくと、ヨウジイは再び肩を落とした。
「そんなに心配すんなよ。俺が護衛として、ついていくからさ」
 そんな彼を哀れに思ったのか、バートが思わずそう言うと、二人はほぼ同時に彼を見た。
「何を言ってるんですか! ……それとも、やはり、お二人は……」
「バートさんは、まだ治療が必要でしょう!」
 ヨウジイの言葉を全く聞かず、彼と言葉が重なるのにも構わずにシモーヌがそう言うと、バートは苦笑しながら手で二人を制した。
「おいおい、二人一度に言われちゃ、返事出来ないぜ」
「じゃあ、私からでいいですね?」
 シモーヌがそう言い、ヨウジイを見ると、彼は小さく頷いて後ろに下がった。
「バートさんの傷は、まだ治ってませんよね?」
「肋骨にちょっとヒビが入っただけだろ。今日一日おとなしくしてたんだ。もう大丈夫だよ。それに、護衛っていっても、別に戦うってきまった訳じゃないんだ。大丈夫さ」
「そんな……。もし、変な人達が襲ってきたら、どうするんです?」
「その時は、お嬢様を庇って、俺が前に立つさ」
 バートはそう言うと、ウィンクした。