「そんなに私って、子供っぽいですか? もう17歳になるのですが……」
「あ、いや、その年にしては、大人っぽいと思いますよ! ジョルジュより1つ下でしたか……」
 彼のその言葉に、今度はシモーヌが目を丸くした。
「あら、じゃあ、ジョルジュさんは18歳ですか?」
「そうなんです。だから、もう少し大人になって、協調性を持ってくれるといいんですが……」
 マルクはそう言うと、溜息をついた。
「ふふ。でも、そうなったらなったで、マルクさんは寂しがられるんじゃないですか?」
 その言葉に、マルクは微笑んだ。
「そうですね。そうかもしれません」
「それで、そのジョルジュさんなんですが、そろそろ迎えに行かなくてもいいんですか? もう少し経ったので、落ち着かれたのでは?」
「いえ、もう少しそっとしておきましょう」
「いいんですか?」
「いいんですよ」
 マルクはそう言うと、優しく微笑んだ。
 ジョルジュには悪いのですが、私はもう少し貴女と二人で話をしていたいと思ってるんです。口が裂けても、あの子の前では、言えませんが。
「じゃあ、1つお願いしてもいいですか?」
「私にですか?」
「ええ。マルクさん、『鉄壁』の異名をお持ちなんですよね?」
 シモーヌはそう言うと、マルクをじっと上目遣いに見上げながら近付いた。
 ドキリ。
 彼女より12歳年上で、大人だと自分でも思っていた彼の胸が、何故か遠慮せずに高鳴った。
「それは、戦場でのことですが……」
「ええ、だからこそ、教えて頂きたいんです」
 そう言うと、シモーヌはもう一歩、彼に歩み寄った。