「それじゃあ、私たちの仕事は?」

 ブラックが聞いて…。

「もちろん…対抗候補の抹殺!!」

 隊長が答えた。

「ぶっ!」

 その答えに対して、茂が飲みかけのコーヒーを噴出したのは、当然の結果だと言える。

「なんばすっと?」

 台詞がなまるのも仕方ない。

「ブルー…その言い方だと『お前、なにしてんねん!』…って意味になります。会話になってませんよ…。」

 イエローの突っ込みはとりあえず無視だ。

「いや、だって、対抗候補の抹殺って、選挙違反もいいとこもいいとこ…最悪殺人事件ですよ。」

 いや…まぁ、抹殺と言う言葉は意訳で、正式には邪魔…という意味なのだろうが、それでも、違法であることは間違いない。

「大丈夫よ。私たちは、公務員なんだから…。」

 だから、何だよ…

「また、前回のピンクみたいなことを…。」

 その言葉がまかり通ったら、今の日本は大惨事に陥るぞ…

「いやねぇ…今回の対抗候補なんだけど、調べたところ、ワイルダーらしいのよ。もし、そんな奴が市長にでもなって御覧なさい。この地区は…いや、世界は大変な賛辞に見舞われるわ!」

 『賛辞』なら、ええやん…。

 てか、彼ら…案外いい人だよ。まだ、二回しか会ったことないけど…。

「なるほど。それは、大変ですね。」

 納得するなよ恵…。

「わかりました。それじゃあ、私たちが動くのも仕方ないですね。」

 いやいや…実くんも…。

「わかってくれたかしら?それじゃあ…。」

 そこまで口にして、隣の部屋に駆け込む隊長。

 いやね……もう慣れたけど…。

「カミレンジャー部隊、ブルー、イエロー、ブラック。」

 モニター画面に隊長の顔がアップで浮かぶ。

 このたびに、無駄だと思うの俺だけ?

 ねぇ、本当に俺だけ?

「オールスタディ!GO!」

 『ラジャー』

 もはや、この言葉に突っ込むことすら疲れてきた自分がいて、青山は思った。

 こうして…人間は毒されていくのだな……と。