「沙奈、今日家に誰かいる?」 トイレから戻ってきた冬華が言った。 「いないよ」 「じゃあ、榎本に送ってもらいな?何かあった時に男子のほうがいいだろうし」 「え、悪いよ。大丈夫、1人で帰れるよ」 榎本は同じ方向だが、さすがにそれは気がひける。 しかし、冬華は私の言葉をまったく聞く気がない。 「それでいいわよね?榎本。」 「うん。分かった」 榎本がこくりと頷く。 榎本も断わってくれればいいのに…