透明ガール


小学校でのプールの授業のときだった。



3年生になって初めて行われるその授業に胸を高鳴らせていた。



それまで私は1度もプールや海に訪れた事が無かった。



友達の話を聞く限り、プールでは皆がスイスイと泳げるものだと思っていた。



グループ分けをして、いざ泳いでみた。





そして、見事にビート板を空の方向に吹っ飛ばし、私はプールの底へ沈んでいった。




「えっ?…ちょっとまって。ビート板って飛ばすもんだっけ…?」



「まぁ、最後まで聞いてよ」




……その後すぐに飛び込んだ先生に助けられ、私は保健室へと運ばれた。



大事には至らなかったものの心の傷は深く、私はもう2度とビート板は使わないと誓った。






「…え?あ、あれ⁉︎ビート板がどうこうの話じゃないと思うんだけど…」



「いや!あれはビート板のせいだよ!まあ無くても沈んだけどねっ!」



どこか遠い目をしながら興奮気味に沙奈が言った。