何時間たったのかも分からないくらいそこにいた


彼は、とおるさんは…………もう、目を覚まさないかもしれない……


そう思うと悲しさが込み上げてきて泣きそうになった


でも、軌条さんを見て思った


妻に逃げられ息子にまでどこか遠くへ行かれたら死にたくもなるだろう


なのに、私に気を使ってくれて………


そう思うと私は悲しんではいけない気がしてジッと目を覚ますのを待っていた


少ししてとおるさんが動いた


「………ん……?」


どこにいるのか分からないようで辺りを見回した


とおるさんは起き上がり疲れたのかまたすぐに枕に顔を沈めた


「とおるさん!」


私が叫ぶと軌条さんが


「とおる!
とおる!おとる!」


何度も名前を呼んでいた


とおるさんは目を覚まして起き上がらないままこちらを見ながら


「少し、静かにして……」


そう言った


頭を押さえて何かを考え込むように黙った


そしてこちらを見て


「めぐむちゃんは、なんでいるの?
あれ?
学校にいて……

何があったっけ?」


そう言うと軌条さんが


「倒れたんだそうだ
どっか痛いところは?」


そう聞くと頭を横に振った


軌条さんは安心したように病室を出て行った