「………」
『プルルルルルルルル』
呼び出し音を聞きながら姿勢を何度も正して座り直した
"はい?
めぐむ?
どうかした?"
早口で言われて
「あの、今大丈夫?」
心配になりそう聞くと
"大丈夫だけど?
何かあったのか?"
みた問われて
「あのね、私達別れようと思うの………」
そう別れ話を切り出した
電話の向こうで沈黙があった
"なんで?"
そう問われて
「私、あなたのこと好きだけど
それは恋愛対象としてじゃないの
ずっと、私のお兄ちゃんだったんだよ
ごめんね」
そう、謝った
"………わかっ…………た…………"
多分、意地だろう
無理にでも私に合わせてくれた
「………本当に、ごめんね……………」
そう言って電話を切った
これで、とおるさんと向き合える
私はどこかでとおるさんに惹かれていたんだと思う
とおるさんの笑った顔や怒った顔、困った顔を見てみたいと思った
年上なのに弱いとおるさんを支えたいと思った
だから私はとおるさんを選んだ

