少しして本当に男の子が来た


軌条さんはいなくて、


前の席に座った男の子は


「こんにちは、」


と、言い教科書を広げて夏休みの宿題をしていた


ちょっとして男の子の手が止まったから
見てみると


まあまあ難しいところで戸惑っていたらしい


「分からないの?」


そう聞くと
頷きながら


「俺、本当は中二だけど、
中一の問題全然分かんねぇんだよ
えっと、
君、中一でしょ?
わかる?」


そう問われて
渡された教科書を見て


説明を始めた


終わった時にはわかったらしく、
スラスラと解いていた


勉強が終わると、その男の子はこう言った


「俺、軌条 透。
中二なんだ、
よろしくな」


そう言われて嬉しくなり
差し伸べられた手を握り返した