嫌な予感がした中二の秋………
今日は夜の海だった
前と同じように歩いていると、とおるさんが
「めぐむちゃん………
話があるんだ」
そう言ってきたので二人で海を見ながら座った
「とおるさんは、いつも唐突よね」
そう笑うと
真剣な顔で
「俺、言わなきゃいけないことがある」
そう言われて向き直って続きを促した
少し微笑み話をした
「俺ね、幼稚園の時に母さんが出ていったんだ
小学1年の夏に、倒れたんだ
貧血だのなんだので
調べはしなかった
でも、何度か倒れるから
おかしいって事になって
病院で調べたんだ
……………病気だった………………」
悲しそうに言うとおるさんは何が言いたいのか分からすただ、ひたすらに見つめていた
「…………俺はさ、いつ死んでもおかしくないんだって………
この病気は治せる人がいない、
最悪の場合は何の手立てもないまま死ぬこともありえます
って言われたんだよ」
そう言い笑っていた
ちっともおかしくないのに、
「あのさ、いついなくなるか分からないのが嫌だったら……
フッてくれてもいい。
長生きできる男の方が良いのかも知れない」
そう言われて私は涙をためながらとおるさんの胸に顔を埋めて言った
「私はっ!
とおるさんだから付き合ったの!
とおるさんが好きだから!
死ぬとか関係ない!
人はいつか死ぬよ
それが早いか遅いかじゃん!
私は、とおるさんと一緒にいたい
最後の、死ぬ瞬間まで、
お母さんみたいに変わってしまう愛だけじゃなくて、
変わらない愛も…………
あるんだよ…………」
そう言うと抱きしめ返されて
沈黙のまま、時を過ごして帰った
願いは、一つだけだった
彼が生きていられますように
と、
それだけだった

