お父さんとお母さんは、いつも私があの日に囚われないようにと
頑張っていた


「お母さん…………
お母さんの知っている話をして欲しいの

あの日、ちゃんと聞かないで出ていったでしょ?
だから、お願いします
聞かせて」


そう言うと


二人は泣きながら
私を抱きしめていた


足は、痛いままだった


その後医者にこう聞いた


『…………恵さんは、
もう2度と歩けないかもしれなせん
手術をしても、治るとは限りません

それどころか、まだ血が止まりませんし、
手術中に大量出血で死ぬ恐れも………
どうか、お早めに御検討下さい』


そう言われた


みさとさきとしんには先に帰ってもらった
もう外は暗く、院内も暗くなっているところがある


大きな窓からは
月が見える


一言、


「………………死んでも……………いいや…………………」


そう呟いた