「どういうつもりですか?」
人が来る気配のない場所で私は先生に問いた
困ったように笑って
「ごめんごめん
ついね
でも、本当に元気そうでよかった
めぐむのこと心配してたんだ」
そう言われて睨みながら
「心配される筋合いない…
それに、いつまでも兄貴気分でいないでください」
この先生は元彼のお兄さん
でも、忘れられない彼のではない
その、忘れられない彼の前の彼だ
お母さんに年上好きって言われちゃうのもこの先生の弟は私の3つ上だったからだ
気分を害したのか、先生は
「お前こそあの男に乗り換えて死んだら死んだで他に男作って、
すごいな
チャラい方か?
真面目の方か?
どっちだよ」
そう言われて睨んだ
すると
「………
いつまでも調子に乗ってんのはどっちだよ
なんで俺の前に現れてんの?
お前のせいで俺の家がどうなったか…
昔の俺とは違うから、優しくはないよ?
それから、声は出さない方が良いよ
驚いて、手元が滑って当たるかも」
そう言い取り出したのは
先っぽがキラキラに光ってたナイフだった

