3年生になっていよいよ受験生。
あとちょっとで、伊織くんの近くへ行ける!!
家庭教師もつけてもらって、頑張っていたある日。
「みおりは地元の大学を受けなさい」
父が私にこう言った。
え………………
「一人暮らしなんてしたら、心配だからな…。みおりは大事な娘だし」
主導権を握る父には反対できない。
自分の部屋で涙を流した。
泣きながら気がついたら伊織くんに電話を掛けていた。
「…ぅもじもじぃ」
涙声で声がおかしいことも気にならないくらい私はショックを受けていた。
「みおり??どうした」
久しぶりに聴く伊織くんの声。
「…ごめんね、伊織くんを追いかけることができなくなっちゃったぁ…」
詳しく話すと、伊織くんは相槌を打ちながら聞いてくれた。
「気にすんな。みおりも頑張れよ」
たまに出る伊織くんの優しい声。
私がいなくてもいい。
追いかけて来なくてもいい。
そんなふうに聞こえてしまった。

