*





彼と出会ったのは、私が高校1年生の時。




友達に連れられやって来た男子バレー部の試合。



その中でひときわ輝いていた人が、伊織くんだった。



180cmは軽くある長身。


少し癖のある黒髪。




顔立ちも整っていて、非の打ち所がない人。


学校で “ 王子 " と騒がれているのも納得できた。






その時の印象は『ただのかっこいい人』だった。





だけどそんな第一印象は次の瞬間、ことごとく消し去った。








試合が始まり、彼がスパイクを打つ。





ふぅっと小さく息を吐き、集中する。






しゅんとボールを上にあげ、助走をつけて、ひゅんと空を飛んだ──






ボールはきれいに彼の手に収まり、びゅんと相手のコートへ落ちた。