「いい…よ ?」
「本当か? あー 良かった」
良かった? 良かったってなんで?
そんな顔を している私を見た叶葉は
「ほら 走るぞ! 遅れちまうだろ」
いつもより少し 元気に 私の手を引いた。
~school~
キーンコーンカーンコーン…
「あっっぶね…」
チャイム ギリギリに2人で教室に着いた。
結構 全力で走ったんだけど 疲れていない。
叶葉と繋いだ 右手が まだ熱いままだ。
そして今も、 なぜか繋いだままだ。
「あ、の…叶葉?」
「ん?」
「手… 席座らないと 先生来ちゃうよ」
私が言うと、頬をわずかに染め 離れる手。
でもまだ 熱いままだ。
「わり… 無意識だったわ」
目を逸らし、 お互い席に座る。
少し 鼓動が速い。 右手が 熱い。
色んな気持ちに襲われたままHRを迎え、
先生の話など 耳になにひとつ入らなかった。