「なあなあ、そろそろ夏祭りの時期だよなー」

エアコンが効いた俺の部屋で親友(?)の合野 彪(あいのかおる)が呟く

「あー、そうだな」

夏休みの課題にシャーペンを走らせながら素っ気なく返す

「お!?伊澄は彼女と行くのかよー!?」

「いかねーよ!てか、彼女いねーし!」

俺が課題から顔を上げて叫ぶと、ホントかよー、などとニヤニヤしながら言ってくる彪…

ちなみに俺の名前は宮野伊澄(みやのいずみ)女みたいな名前だけど、男だからな!

「ほんとかよ!?お前イケメンだからぜってーもてるだろー!」

シャーペンでぐりぐりと俺の肘をつきながらまたもニヤニヤして彪が言う

「それだったらお前もだろ…」

「嫌味かよ!お前の方がイケメンだろ…」

ちなみに彪は付き合った人数3人

俺は0人

告白された回数

彪3人

俺15人とちょっと

彪は断れない性格らしくて、毎回付き合っている

「お前、ほんとにお人好しだよな」

ボソッと呟く

「なんだよ!お人好しって!」

「ったく…お前は彼女と行くのか?…あ、ああ、そうだったな…」

彪は三人目の彼女に

「あなたは私を大切に思ってくれているかがわからない…」

などと言われてふられました

告ったのはそっちだろうが…
女って怖いな…

「お前…まじ性格悪いな…」

さっきまでのテンションは何処へやら、肘に顔をうずめている

「す、すまん…」

「奢れよ…アイス…」

「わ、わかった…」

「よっしゃ!ぜってー高いやつ買えよー!」

さっきとは打って変わって目をキラキラさせながら、彪が俺を指さす

彪はこれが狙いだったのか…

「は!?何言ってんだよ!俺が買えると思うか!?」

「お前!約束しただろ!」

「ゆ、指切りしてねえし!」

「おまっ、指切りとか…w」

お腹を抑えてうずくまる彪

「指切りやるだろ!?」

「ふはっwやるけどw」

じいちゃんに大切な事は指切りでやるのがいいと教わって以来、大事なことは指切りをしていた…

「指切りするのが…おかしいか…?」

「いやぁ、おかしくはねえけど…」

しばらく黙って、ふたりで指切りをした、その後高いアイスを買わされたのは言うまでもない…