次の日から早速大地は、学校を休むようになった。私は、大地がどうしているのか気になって気になって仕方がなかった。

毎日、玲音に聞いたけど、

「俺も知らない。」

「もしかしてあいつのこと好きになっちゃったのか?」

と茶化されて、明確なことは分からなかった。



「悠香ちゃん、ちょっといい?」

ある日の放課後、琴美に呼ばれて、人気のない教室に残った。
そこにはあまり話したことのなかったクラスメートの、河瀬柚梨もいた。2人は険しい顔つきで、これから何を言われるのか、心配になった。

クラスでも人気者の玲音とよく話すから?

大地のことを気にしすぎて?

「悠香ちゃん、大地のこと少しでも、気になってる?」

男子に馴れ馴れしくしていた私を咎めるために呼ばれたと思い込んでいた私は、琴美の優しい口調に一先ず安心した。

「…少し。」

「柚梨は、大地と小学校の時ずっと同じクラスだったの。だから、彼のことよく知ってる。いまから柚梨が話すことを、ちゃんと聞いてほしい。」

琴美は真剣に言った。

「ん…うん。」


「悠香ちゃん、ほんとに大地のこと気になってるみたいだから…耳の痛い話だけどね。玲音ちゃんと教えてくれないもんね?…後々にならないように、今伝えたいことがあるの。」

柚梨は、そっと言った。

「大地は生まれつき心臓病でね、入退院を繰り返していて、何回か手術も経験してるの。多分、今も体調が優れないんじゃないかな。」

「大地は、死んじゃうの?」

「小学3年生くらいの時に、一回命が危ないって言われた時があったの。それ以来は、ない…というか私が知らないだけかもしれないけど…。」

「そっかぁ…そんな重い病気で、だから休みがちなんだね。」

私は、心臓病という病の大きさにまだ気がついていなかったものの、落ち込んだ気持ちを隠すことはできなかった。

「でも、大地は、支えになる人が欲しいと思うよ?病院で一人で孤独だと思うし…。悠香ちゃんが、本当に大地のことを好きと思っているなら、助けてあげて。それは、病院の子を励ますのはすごく大変だと思うから、絶対にとは言えない。だから、このことを知った上で、悠香ちゃんが決めることだよ。」