イライラしたりムシャクシャしたときは身体が勝手に動く






身体が黒蝶になりたがる






まるであたしのなかにもう1人の人間がいるような





気持ち悪い








隣町の繁華街はたしかにいつもより殺伐としていた






いろんな方向から怒鳴り声や呻き声が聞こえる






黒蝶のあたしはそれにテンションがあがる








ひとまず繁華街のど真ん中を歩く








こうゆう裏の世界では黒蝶は結構名が通ってるらしい






いかにもって奴らがあたしをみてニヤニヤしている







キモいわーー








しばらく歩いていると案の定男15人ぐらいに囲まれた







まあこれが狙いだけど










「お前黒蝶だよな??」









あたしの目の前の男が口を開いた









「だったら??」








ニヤニヤニヤニヤとまるで獲物をみつけたかのようにあたしをみてくる男たち








「この前よー俺の仲間がお前に遊んでもらったらしくてよーーーー心当たりあんだろ?」








この前の5人組かな?







「まぁーあるけど」









「だろ??それのお礼をさせてもらわかきゃなぁぁぁ!!!!??」








戦闘開始?笑









繁華街のど真ん中で女1人男15人の殴り合い








ドスッ バキッ





「ぐぁっっぅぅ」





「つぁぁぁぁっっ」








優勢は女1人







男たちは次々に倒れていく








ついに最後の1人




野次馬もなんかすっごいいるんだけど








まぁいいや






「っっっ!!ってっめ!なんでそんなに!!!」







怯える男あぁ滑稽






笑える








「あんたたちが弱すぎんのよ」









「っあはは あははははははは!!!
あれだろてめーさろくな親に育てられてねーよな!!!
そーだろー!?こんな夜中にこんなところ徘徊してんなんてなぁ!!」









なに?やめてよ







「さぞかし親にとってお前は邪魔な存在だろーなーーー!!!!だからこんな荒れてんだろ??!いらない子だからな!!!!」








ドクン ドクンドクン








やめてよ







「いらない子?」








「ああ!!そーだよ!!!いらない子なんだよてめーはよ!!!!」








イラナイ子








「まあここにいる連中はほとんどそんな感じのやつらだか………」







「っああああああああああああああ」






あたしは男が喋り終わるまえにその男の顔を殴り飛ばした









ドスッ ドカッ バキッ





「ぅぅぅぅおね……が……やめっ」







ドカッバキッドスッグチャ







「………………」






男は気絶したらしいがそんなの知らない








なんであの人たちのことを








イライラの原因の話をするんだよ








ああこの人死んじゃうかもな






あたしはもう自分では止まらない



___________




どれぐらい殴り続けてたのか






咲としての意識が戻ったのは男の顔の原型がわからなくなってからだった





見ていた野次馬たちはあたしの暴走をみて恐ろしくなったのかあたしの周りには誰もいなくなっていた






倒れている男たちの中心に立つ





月の明かりで自分の手をみるとねっとりした赤い液体で染まっていた






独特な匂い多分顔にも赤い液体が付いているだろう






ああなんか息苦しい






動きすぎたな








あたしは小さい頃から喘息持ちだ







発作が起きるとだいぶつらい







本当は激しい運動とかだめなんだけどね







今日はしょうがない







あたしを怒らせたあの男が悪い








でも






「ごめんなさい。。。。」









そう呟いてた







発作がおきるまえにはやく帰ろう






電車もうないよね歩かなきゃ








一歩



また一歩







歩くたびにヒューヒューと息苦しさが増していく





「っっハアハアハア」







くっそ吸引機もってくればよかった






繁華街を抜けて狭い道にはいったとき








「おい。てめえその格好はどうした」






男の声が聞こえた








その格好とは血にまみれた格好のことをいってるんだろう







ヒューヒューヒューヒュー息ができない




その質問には答えられずそのまま歩き出そうとすると






グラリと視界が揺れた







ヤバイダメだ酸素足りない







「おい!!!!しっかりしろ!!!」







そんな言葉を聞きながらあたしは意識を手放した