『香澄さん…』 優しい口調で、両手を握られる。 『少しの間でいいから置いてくれない?』 『ダメッ!ダメに決まってるでしょ!』 でも、本当は一人になりたくない。 今は誰でもいいから人肌が恋しかった。 出ていけ!っていいながら、 この握られた手のぬくもりが心地よくもある。 でもそんなのは、人として間違ってる。