彼の嘘は大きな愛で。




咲くんが立ち止まったのは、

それから何分かしてからだった。



「はあ...」


「あ、あの...咲くん...」


「ん?」


「そっ、そろそろ、降ろして?」


自分が走ったわけではないのに、

疲れてしまったから小声になってしまった。



「あ、わ、わり...」


そう言いながら、やっと降ろしてくれた。


「「......」」


咲くん...何も喋らない...。


しばらく無言が続いて、

意を決して口を開いた。

とき。