すると突然田中が振り返り、声をかけてくる。

「どうした?俺、歩くの早かった?」

あまりにも優しく訊ねてくるので拍子抜けしてしまう。

「怒ってるのかと思った……」

と私が言うと、どうして?と言うように首をかしげた。

「私がたくさん待たせちゃったから…ごめんね?」

田中の顔を見て言うと、田中は顔を赤くした。

「俺が待ってただけだから気にすんな。」

そう言ってそっぽを向いてしまう。

こういう不器用なところ、すごく好き。


その後他愛のない話をしていると、私の家の前に着く。