出来れば俺もそちらの方に集中したい。
がそれは無理らしい。
なぜなら、ニコニコニコニコと笑顔なこの男の子の視線が真横にいる俺に注がれている。
(あの、軽いホラーなんですけど)
「ねー、ナイ君、ナイ君‼」
ツンツンと俺の袖を引っ張ってくる男の子。
(ちょっと待って。 そういう仕草って女子が計算してやってるんじゃないの!? しかも、使うとこ絶対間違ってるよ‼)
「えっと、なんでしょう?」
「僕、原田翔 ( ハラダ ショウ )っていうのー。 仲良くしようね、ナイ君!」
とびっきりの笑顔を見せるとクラス皆の顔が柔らかくなる。
(すげぇ力だな、おい)
むしろ、何かの才能ではないかと疑ってしまうほどの威力だ。


