「・・・いや、前とは少し違うみたいだ」


そう言いつつ、風夜が視線を向けてくる。

それを受けて、花音は合成獣のデータを取り出した。


「それは?」

「火焔くんが持ってきてくれたの。合成獣実験のデータだよ」


神蘭がすぐに問い掛けてきて、答える。


「本物か?」

「ああ。その確認はしてある。間違いない」

「そうか。なら、その資料、貰ってもいいか?データがあるから、上に渡しておきたい」

「う、うん」


本物か偽物かの確認はしてあると言った黄牙に、少し考えて神蘭が言う。

花音もこのまま持っているよりもその方がいいと思い、神蘭に渡した。

「でもさ、花音ちゃん。資料は本物だとしても、信用しきって大丈夫なの?」


それまで黙っていた美咲が言う。


「確かに。今までのことを考えるとな」


光輝のその言葉を聞いて、火焔が自嘲するような笑みを浮かべる。

その時、火焔の身体を拘束するように何かが巻き付き、更に彼の後方にあった木へと縛り付けた。


「うぐっ!」


急なことに身構えていなかった火焔は、木に背を叩きつけられ、花音達はそれを唖然とした表情で見る。


「さてと、これならいいだろ。動けなければ、何も出来ないからな」


何が起きたのかと思っていると、風夜の声がする。


「力で逃れようとしても、拘束しているのは俺の力だ。火焔の力である火を使えば、自分の身を焼くことになる。だから、力を使って、脱出はできない。話が終わるまで、この状態なら問題ないだろう」


そう言った風夜は、どこか楽しそうだった。