「さぁ、じゃあお互いに自己紹介しましょう」


二人がベッドに戻ったところで、沙羅がにこやかに笑って言う。


「先に二人からね」


笑みを向けられ、二人はコクリと頷いた。


「俺は、紅牙」

「僕は、蒼牙」

「ふふ。良くできました。私は、沙羅。それから、花音に風夜、朔耶、この小さいのが私の使い魔の瑠璃よ。それで」


花音達を簡単に紹介して、沙羅が笑みを消す。


「貴方達、二人は北の研究所から逃げてきた実験体・・・違う?」

「・・・そうだよ。黄兄さんが逃がしてくれたんだ」

「だから、俺達は助けを呼んでこようと思って・・・」


そこまで言って、紅牙と蒼牙は花音達を見た。

「お願いです!僕達に、力を貸して下さい!」

「・・・だそうだけど?」

「えぇっ!?」


蒼牙の言葉を流すようにして、聞いてきた沙羅に花音は声を上げる。


「だって、私はどちらでもいいもの。でも、あなた達は目的があって来たのだから、どうするかは二人が決めていいわよ」


その言葉に紅牙と蒼牙がすがるような視線を向けてきた。


「・・・まぁ、話を聞いたらほっとくわけにはいかないよな」

「そうだね。・・・うん、わかった。協力するよ」


風夜と顔を見合わせてそう返すと、紅牙と蒼牙は表情を明るくした。




「決まったみたいね。・・・瑠璃」

「はーい。じゃあ、ちょっと調べてくるから、待っててね」


沙羅が瑠璃を呼ぶと、彼女はそれだけで何を言おうとしたのかわかったらしく、開いていた窓から外へ出ていく。


「あれ?何処に行ったの?」

「北の研究所に偵察にね。情報なしに行くのは危険だから、私達は瑠璃が戻ってきてから行きましょうか」


その言葉に花音達は頷いた。