「白鬼!しっかりして!」


段々と虚ろな目になっていく白鬼に、鈴麗が声を掛けるが、それすらきちんと聞こえているのかわからない。


「 」

「えっ?」


傷口を抑え、出血を止めようとしている鈴麗と神麗に、白鬼が何かを言っている。

声が小さすぎて花音には何を言ったのかわからなかった。


「・・・もういい。俺は助からないから、向こうで白夜を手伝ってやれ」

「えっ?」

「蒼牙?」


不意に呟いた蒼牙を、花音と紅牙が見る。


「あのお兄ちゃんが言ったことだよ」

「・・・そうか。お前には聞こえるんだな」

「・・・うん」


悲しげな表情で蒼牙が頷いた時、爆風と共に風夜と白夜が吹っ飛ばされてくる。


「さあ、他の奴等は来ないのか?」


余裕のある笑みを浮かべている男に、白鬼はふらつきながらも立ち上がった。