「それで、これからあなた達はどうするの?」


花音が作ったクッキーがなくなる頃、沙羅が口を開く。


「あなた達がこの世界に来た目的は果たしたでしょう?すぐに向こうに帰るのかしら?」


沙羅の言葉に、花音達が異世界から来たことを知らなかった紅牙、蒼牙、黄牙、朔耶が目を丸くした。


「向こうに帰るって・・・?」

「俺達はこことは違う世界から来たんだよ。俺の中の魔族の血をどうにかするためにな。その目的を果たした以上、ここにいる訳にはいかない」

「えっ?どうして?」

「ここにいたって、いいじゃんか!」


風夜が言うと、紅牙と蒼牙がそう声を上げた。


「二人には、待っている人達がいるのよ。だから、ずっとここにはいられない。・・・それに、今、向こうの世界では、大きな厄介事が起きてるの。ここにずっといたら、気が気じゃないでしょう?」

「その厄介事って何なんだよ?」


宥めるように言った沙羅に更に言い返す紅牙に、溜め息をついて彼女が続ける。


「簡単に言ってしまえば、神族と魔族の戦いね。まぁ、元々は魔族の侵略行為だったんだけど・・・」

「だったら!余計、こっちにいればいいじゃんか!それが終わるまで、こっちにいれば!」

「そうだよ!そんな中、帰るなんて・・・」

「・・・紅牙、蒼牙」


黄牙に名を呼ばれ、二人が黙りこむ。

その時、それまで黙っていた神麗が口を開いた。