「ぐっ・・・、私が・・・、最上級クラスになったこの私が、負けるというのか・・・、漸く私の夢が叶ったというのに・・・、漸くこの国の王に・・・」


倒れたまま、そう呟く声がする。

そんな元大臣へ、風夜が近付いていく。

その時、幾つかの足音が近付いてくるのが聞こえ、謁見の間の扉が開かれる。

見ると、それは別行動中だった火焔達だった。


「こっちは終わったわよ」

「大丈夫ですか?」


彼等と行動していた神麗が言い、傷を負っている夜天達を見て、星華が駆け寄ってきた。


「終わったって、王様達を助けられたの?」

「ああ、先に城を出てもらった。それより、こっちは・・・」


倒れている元大臣と、姿が変わっている風夜、彼とは別に存在している《風夜》を見て、火焔が言う。


「それは、えっと・・・」


それに花音が答えようとした時、倒れていたはずの元大臣が動いた。


「・・・諦めるものか・・・、私は王になるのだ・・・!もう何処の国でも、構わんっ!」


そう叫んだかと思うと、手を刃のような形に変形させ、突っ込んでこようとする。

だが、その前にその身体を光線のようなものが貫いた。


「がっ・・・!」


信じられないというように目を見開いた元大臣が倒れていく。

倒れた身体は次第に動かなくなり、消滅しはじめる。

それを風夜は、冷たい目で見ていた。