「な、何っ?」


あっという間の出来事に、元大臣は声を上げる。


「ば、馬鹿な・・・!」

「どうした?あの空間を壊しただけで、随分動揺してるじゃないか?」


涼しい表情をして言った風夜を元大臣は一瞬睨み付けたが、すぐに表情を戻す。


「・・・ふ、ふん。ただ私の術を一つ破っただけで、いい気になるなよ。お前と一緒にいる奴等は、殆ど手負い。同属性であるお前達兄妹の力は、私に通用しない。魔族一人も、神族の二人も、私の力の方が強いのだから恐れることはない。・・・私の勝利は、変わらないのだ!」


自分にも言い聞かせるように言い、元大臣は魔力を巨大な球状のものにして放った。


「っ・・・!」


それを防ぐことも、ましてや傷付いた光輝達が避けられるとも思えず、花音は身を縮める。

だが、そんな彼女達の前に誰かが割って入ったかと思うと、そこから動かなくなる。


「・・・変わらない・・・、か。それはどうだろうな?」

「なっ・・・」


魔力の巨大な球を片手で止めていた風夜がそれを振り払う。

それと同時に、彼の背に黒い翼が生える。

その翼はもう一人の風夜の力を借りていた時よりも増えて、三対になっていた。