窮姫が去っていってから、まだ息があったのだろう女性が僅かに動く。

そこで漸く再び声が聞こえてきた。


『・・・めんなさい。私では、止められなかった。・・・あの人の愛した国を・・・、世界を、守りたかったのに・・・』


言いながら、女性の目が虚ろになっていく。


『・・・ごめんなさい。・・・私の愛しい人達。・・・ごめんなさい』


言った女性の目から、涙が零れ落ちる。

その涙が地面に吸い込まれるのと同時に、女性の身体は消えていった。